
「仕入れたのに全然売れない商品が倉庫の隅で眠っている。」
そんな悩みを抱えるEC運営者に向けて、本記事では滞留在庫が発生する原因、放置するリスク、具体的な4つの対処法、そして再発防止に効く「在庫連携サービス」を分かりやすく解説します。
ECサイトにおける「滞留在庫」とは?
滞留在庫とは、仕入れた後に一定期間販売されず、倉庫に残り続けている在庫のことを指します。
何日で「滞留」とみなすかは業種によって異なりますが、一般的には3〜6か月以上動いていない在庫が該当するケースが多いです。
【業種別】滞留と判断する目安
食品・医薬品
約30〜60日
消費期限・使用期限が短い
アパレル・雑貨
約90日
季節性・トレンドの影響が大きい
化粧品・日用品
約90〜180日
使用期限があるが比較的長い
工業品・BtoB資材
半年以上
需要が安定・長期在庫が前提
目安がわからない場合は、まず「180日以上売上がない商品」を基準にスタートし、自社の商品特性に応じて調整していくのがおすすめです。
「余剰在庫」「不良在庫」との違い
滞留在庫と混同されやすい言葉に、「余剰在庫」と「不良在庫」があります。
それぞれの違いは以下のとおりです。
余剰在庫
需要予測のズレなどで一時的に多く抱えている在庫
まだ売れる見込みがある状態
滞留在庫
余剰在庫が一定期間動かず、売れ残った状態
不良在庫
品質劣化や期限切れなどで、そもそも販売できない在庫
この3つは「余剰在庫 → 滞留在庫 → 不良在庫」の順に悪化していくと考えるとわかりやすいです。
滞留在庫の段階でしっかり手を打つことで、最悪の出口である「廃棄や廃番」を避けられます。
滞留在庫が発生する4つの原因
滞留在庫を根本から減らすには、まず「なぜ発生するのか」を知ることが第一歩です。
EC運営で滞留在庫が発生する原因は、大きく分けて次の4つです。
原因1
需要予測のミス
「これは売れるはず」という感覚だけで仕入れ数を決めてしまうと、実際の売れ行きとのギャップが生まれます。
特にEC運営では、テレビやSNSでの話題性、天候、季節イベントなど売上を左右する要因が多く、予測が難しいのが実情です。
原因2
過剰な仕入れ
「まとめて仕入れると単価が安くなる」という理由で、必要以上の数量を発注してしまうケースです。
また、製造ロット単位でしか仕入れられない商品も、過剰在庫を招きやすい典型パターンです。
メリットが本当にリスクを上回るのか、都度チェックする姿勢が大切です。
原因3
シーズン・トレンドの変化
アパレル、雑貨、食品など、シーズンやトレンドに需要が左右される商品では、販売タイミングを逃すと一気に売れなくなり、翌シーズンまで持ち越すと価値が大きく下がってしまいます。
SNSで一気に広がった商品ほど、収束のスピードも速い傾向があります。
原因4
在庫管理が不十分(複数モール運営では特に注意)
そもそも「今、何がどれだけ在庫にあるか」を正確に把握できていないと、適切な発注判断ができません。
複数モール(楽天・Amazon・自社ECなど)を運営している場合、モールごとに在庫が分断されていると、片方で売れ残っているのに気づかず、追加発注してしまうケースがあります。
この課題は、記事後半で紹介する「在庫連携サービス」で構造的に解決できます。
滞留在庫を放置する3つのリスク
「まだ売れるかもしれないし、そのうち動くだろう」と滞留在庫を放置していると、ショップの経営に確実にダメージが蓄積していきます。
ここでは、滞留在庫を放置することで発生する3つの代表的なリスクを解説します。
リスク1
キャッシュフローの悪化
最大のリスクが、キャッシュフローの悪化です。
仕入れた商品が売れないということは、仕入れに使った現金が売上として戻ってこないということ。
本来なら次の仕入れや新商品開発、広告出稿に回せるはずだった資金が、動かない在庫の中に「眠ったまま」になってしまいます。
リスク2
保管コスト・倉庫スペースの圧迫
売れない在庫でも、置いておくだけでコストがかかります。
倉庫の賃料や光熱費、棚卸しにかかる人件費、そして商品の状態確認のための手間…。
動かない商品が倉庫の一角を占領し続けることで、「本来なら売れる商品を置くはずだったスペース」が失われます。
リスク3
品質低下・商品価値の劣化
時間が経つほど、商品の価値は下がっていきます。
食品や化粧品のように消費期限があるものはもちろん、家電や電子機器も型落ちで価値が急落しますし、アパレルはトレンドが変われば定価では売れなくなります。
滞留在庫は、放置すればするほど「値下げしても売れない不良在庫」へと悪化していきます。
滞留在庫の対処法|「4つの出口」で在庫を動かす
滞留在庫が発生してしまったら、放置せずに「出口」を用意して動かす必要があります。
多くのショップが真っ先に思いつくのは「値下げセール」ですが、実は選択肢はそれだけではありません。
ここでは、商品特性ごとに使い分ける「4つの出口」を紹介します。
最優先
値下げセール
定番商品・売れ筋の旧版
優先
セット販売
関連商品が組める商品
中程度
販路変更
自社ECで動かない商品
最終手段
廃番処分
品質劣化・販売継続不可
出口1
値下げセール|定番商品を素早く動かす
最も手軽で効果が出やすいのが、値下げセールです。
定番商品や過去に売れ筋だった商品、モデルチェンジ前の旧バージョンなど、「元々は人気があったけれど、今は動きが鈍っている商品」に向いています。
値下げセールのポイント
- 値下げ幅の目安は、通常価格の10〜30%OFF(仕入れ原価を割らないよう注意)
- セール期間の目安は、2週間〜1か月
注意
「セール待ち」の習慣がお客様に定着すると、通常価格では売れなくなり、ブランドイメージも下がっていきます。
対策として、「期間限定」「会員限定」「アウトレットコーナー」といった形で通常商品と切り分けて見せることで、リスクを抑えつつ在庫を動かせます。
出口2
セット販売|「ついで買い」を促す
売れ筋商品と滞留在庫を組み合わせたり、関連性の高い商品同士をペアにすることで、単体では動かなかった商品もセットとして売れやすくなります。
セット販売のメリットは、値下げセールと違ってブランドイメージを損ないにくいこと。「お得なセット」として演出できるので、通常価格の商品と並べても違和感がありません。
セット販売の例
| セット名 | セット内容 |
|---|---|
| スキンケアペアセット | 化粧水(売れ筋商品) + 美容液(滞留在庫) |
| お手軽パスタセット | パスタ麺(売れ筋商品) + パスタソース(滞留在庫) |
| カラバリ2枚セット | 色違いTシャツ(滞留在庫)2枚 |
| バラエティセット | お菓子詰め合わせ(定番商品と滞留在庫ミックス) |
セット販売のポイント
- 「使うシーンが明確」なセットにすること
- セット価格は、単品合計より10〜20%ほどお得な価格にすること
出口3
販路変更|アウトレット・買取業者を検討する
出口1や出口2を試してもどうしても売れなかった商品は、外の販路で売るという選択肢があります。
代表的な販路
| セット名 | セット内容 |
|---|---|
| フリマアプリ (メルカリShopsなど) | 小ロットの在庫を素早く現金化しやすい |
| 在庫買取業者 | 大量の在庫を一括で処分できる 利益は薄いが手間が少ない |
| アウトレット系モール | アパレルやファッション雑貨を現金化しやすい |
注意点
別モールで自社商品が大幅に安く売られていると、既存顧客の不信感につながるため、「アウトレット専用」と明示するか型番を変えるなどの工夫が必要です。
また、在庫買取業者を使う場合は、信用問題への発展を防ぐために「秘密厳守」で対応してくれる業者を選びましょう。
出口4
廃棄・廃番処分|「損切り」で他の資源を守る
どの出口でも売れない商品は、最終手段として廃番処分を検討します。
「まだ売れるかも」という気持ちで持ち続けるより、思い切って損切りしたほうが、トータルでは経営にプラスに働くケースが少なくありません。
廃番処分をする際は、商品ページを「非公開」に設定し、実物在庫の処分と合わせてデータも整理しておきましょう。
滞留在庫を再発させない「在庫連携サービス」とは
ここでは、滞留在庫の「再発防止」に効果的な、在庫連携サービスの活用法を紹介します。
在庫連携サービスとは、楽天・Amazon・自社ECなど、複数の販売チャネルの在庫数を自動で同期・一元管理するクラウドサービスのことです。
「どこかで1つ売れたら、他モールの在庫数も自動で1減る」という仕組みを、24時間、人手をかけずに動かせます。
「在庫連携サービス」で滞留在庫を予防できる理由
1
在庫の「見える化」で二重発注を防止
どのモールに何個残っているかがリアルタイムで把握でき、「実は他モールに大量に残っていた」という状況を防げる。
2
滞留商品の早期発見
全チャネルの販売データを合算して見られるので、動きが鈍い商品を早めに察知し、滞留化する前に手を打てる。
3
滞留商品の早期発見
正確な在庫データに基づいて発注できるので、過剰な仕入れが減る。
【Welcartユーザーにおすすめ】3つの在庫連携サービスを比較
Welcartユーザーの場合、公式連携プラグインがある次の3サービスがおすすめです。

らくらく在庫
料金(税別)
連携プラグイン:無料
月額:3,000円〜
特徴
在庫連携に特化
こんなショップにおすすめ
在庫連携だけできればOKなショップ

ネクストエンジン
料金(税別)
連携プラグイン:40,000円
月額:3,000円〜 + 従量
特徴
在庫+受注+商品管理まで一元化できる総合型
こんなショップにおすすめ
受注や商品管理もまとめて効率化したいショップ

zaiko Robot
料金(税別)
連携プラグイン:40,000円
月額:1,500円〜
特徴
低コスト+手厚いサポート
こんなショップにおすすめ
月額を抑えたい小規模ショップ
※各サービスの料金・プランは変動します。最新情報は各公式サイトでご確認ください。
どのサービスも無料トライアル期間が用意されているので、実際に触って比較してから決めるのが安心です。
なお、在庫連携サービスは「売り越し(在庫切れなのに売れてしまう)」の防止にも効果的です。
滞留在庫の予防と同時に、真逆の悩みである在庫切れ対策にもなるので、複数モール運営者にとっては一石二鳥のツールと言えます。
在庫切れの対処法については以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ|滞留在庫は「攻めの棚卸し」で動かそう
滞留在庫は、「いつか売れるかも」と持ち続けるほど価値が下がっていきます。
大切なのは、「動かない在庫は、動かす仕組みを作って現金に戻す」という攻めの姿勢です。
定期的な棚卸しで滞留在庫を早めに見つけ、4つの出口で仕分けする習慣が身につけば、キャッシュフローが健全化し、次の仕入れや販促にも余力が生まれます。
まずは自社の在庫を見渡して、「180日以上動いていない商品」をピックアップするところから始めてみてください。



